ライオンのおやつ   小川糸

前回のツバキ文具店について友人に話たら貸してくれました。

主人公は末期がんで余命宣告をうけている女性で、彼女が瀬戸内海のある島のホスピスに入る所から物語は始まります。

泣けます。

ずっと悲しいです。

物語の要所でタイトル通りおやつのシーンが所々にあるんですが、

これが美味しそうやら悲しいやらで

読了感も爽やかで清々しいお話でした。

ツバキ文具店 小川糸

主人公は手紙の代筆を営んでいる女性です。

祖母とケンカ別れして海外を放浪し、育ての親である祖母が亡くなり代書屋を継いでいます。

そんな主人公の元に様々な代書の依頼がやってきます。

それは、恋文であったり、絶縁状だったり、年賀状など色々です。

依頼人の話を聴き、事情やひととなりを観て、手紙を書き上げていきます。

封筒、切手、宛名、住所、便箋、材質、筆、

手紙の中身以前にもたくさんの要素があり、ここに文字の種類、筆跡まで考え主人公は手紙を書きます。

依頼人だけではなく、主人公の鳩子さんにもいろいろあります。

物語の終わりに鳩子さんは亡くなった祖母へ手紙を書きます。

生前ついに書くことが出来なかった手紙を…

小川糸さんらしい優しい文章で、

泣きはせずともエピソードの端々で目尻に涙が滲むような素敵なお話でした。

私は筆不精で年賀状すらメールで済ませてしまいますし、それで良いと、この本を読んだ今も思います。

でも、もし一生に一度くらい手紙を書かなくてはならない時があったならこのお話を思い出せたらいいと思います。

イノセントデイズ   早見和真

友人に勧められて読みましたが、めちゃめちゃいい本です。

主人公の女性は元彼の奥さんと双子の姉妹を放火で死なせた罪で捕まった死刑囚です。

彼女がどんな人生を歩んできたのか?本当に犯人は彼女なのか?なぜこんなことになってしまったのか?

刑務官、幼馴染、姉、彼氏の親友、それぞれの視点から、それぞれの切口、それぞれの立場で語られます。

この物語の結びが主人公にとって救いだったんだろうかとか考えると未だに胸が痛いです。

重ねていいますが、めちゃめちゃいい本です。

滅私  羽田圭介

ミニマリストの主人公が身の回りのありとあらゆるものを整理していったその果てにどうなるのか?

みたいな感じの話でした。

羽田さんの作品は皮肉が効いていて好みです。

スクラップアンドビルドとかも好きでした。

うちの実家にも高齢の祖父母がいるので、あるある 分かる分かるが沢山ありました。

黒牢城 米澤穂信

今話題の黒牢城を読みました。

黒田官兵衛荒木村重有岡城に幽閉されていた時のお話です。

作者の発想や物語の着眼点は流石と思います。

しかし、自分の主観のみで感想を言わせてもらうと、面白いけど好みの小説ではありませんでした。

米澤さんの物語の独特の暗さというか陰鬱というかそれも味だとは分かっているんですが

なんとなく毎回肌に合わないと感じてしまいます。

ヒトコブラクダ層Z 万城目学

宇宙人、恐竜、古代文明、超能力、三つ子、泥棒、パッと思い出すだけでこれだけの設定を詰め込んで物語を破綻させず最後まで読ませるのはすごいと思います。

でも、私はもう少し設定が少なめの方が好きでした。

ただ、前述の設定が最終的に1つの線というか、物語として起結させる能力は重ねてすごい。

農ガール、農ライフ 垣谷美雨

初めて読む作家さんでしたが、読みやすく最後まで楽しんで読めました。

終わりの直前まで主人公に、苦労が重なり続けて読んでて少し辛くなりました。

私も農業ではありませんが、割と近いところを生業にしてメシを食っております。

そういう事情もあって感情移入が進みました。

結びもしっかりと救いがあり、明るい展望を見られて、なんだかほっとした様な気持ちで読み終えました。

よければ読んでみてください。