三島屋変調百物語 泣き童子  宮部みゆき

第一集の、おそろしから読んでいる好きなシリーズです。

聞き手の主人公が、語り手の身に起こった不思議な話を聞いて行く形式で一話完結の短編集の様な本です。

優しいお話から背筋が凍るような話、教訓のような話など色々ですが。

オチが優しいお話が多く思わずホロリとさせられてしまいます。

機会があれば是非読んでみて下さい。

ルビンの壺が割れた  宿野かほる

主人公がSNS上で昔の恋人と再会するところから始まります。

手紙のやり取り風に、主人公と恋人のメールのやりとりだけで物語が進行していきます。

やり取りを重ねるにつれて、思い出語りがどんどんキナ臭くなっていきます。

文章は完結で読みやすく。

オチも毒の効いたいいお話でした。

家康 江戸を建てる  門井慶喜

物語としてはわかりませんが、田舎の寒村だった東京のインフラ整備のエピソードが語られてます。

江戸城をつくったのは太田道灌っていう浅い知識はありましたが前後の時系列とか、どんな風に現在の江戸城、東京の原型、河川の位置関係

地名の由来など勉強になる事の多い小説でした。

旅屋  おかえり  原田マハ

まぐだら屋のマリアに続いて2冊目です。

売れないタレントの主人公が1本しかない、旅番組が打ち切りにされるお話からスタートすます。

苦し紛れに始めた旅の代行業、依頼者の代わりに旅をするお話が2編入っています。

両方とも泣かせに来ていて、泣いてなるものかと読み進めましたが、

良かったです。

また、同じ夢をみていた   住野よる

住野よるといえば、君の膵臓を食べたいですが、このお話も良かったです。

小学生の女の子が幸せとは何かを考える話しですが、登場人物達の答えが以外に含蓄があって好きでした。

私の描いたライオンを見て、お母さん太陽の塔って言ったのよ

という主人公のセリフがあるのですが、シリアスな場面なのに思わず笑ってしまいました。

気になったら是非読みながら探してみて下さい。

みかんとひよどり  近藤ふみえ

フランス料理のシェフで、少し抜けた所のある主人公が山で、遭難しそうになったところを助けられて物語が始まります。

助けたのは無愛想な猟師で、簡単に言えばその2人が徐々に仲良くなっていくお話です。

終始、軽快な文章が続き、通常の私は物語に入り込むのに50pくらいかかってしまいます。

みかんとひよどりは10pくらいで集中出来ました。

中編くらいのボリュームですが、2時間位でサクっと読めるのにしっかり読了感もある素敵な小説だと思います。

原田マハ まぐだら屋のマリア

主人公のシモン君が東京の高級料亭をやめて

ヒロインが働く食堂まぐだら屋に転がり込む所から物語が始まります。

序盤、終盤、お話の結びはとても楽しめたのですが

中盤の主人公がなぜ料亭をやめたのか?

ヒロインはなぜ まぐだら屋で働いているのか?

この辺りを読んでいるときはイライラして読むのやめてやろうかと思いました。

とはいえ物語の結びは気持ちよく読後感に浸れる小説でした。

原田マハさん流石です。